例によって、営業開始と共に入店する感じでした。予約は入れておきましたが…。営業開始は17:30なんですが、ちゃんと17:30までに店前のメニューが出されて外灯もつき、暖簾も上がったので、これはいい感じです。店内は、入ってすぐのところにL型カウンターがあり、こちらは8席。奥には半個室のテーブル席があるようですが、詳しくは確認出来ていないです。

日本料理の店だという風に聞いていたんですが、メニューを見る限りでは、惣菜(おばんざい)の店のように見受けられます。魚メニューは「お造りも出来ます」とは書かれているんですが、じゃあ造りでなければ何なのか…、が気になったりします。少なくとも、造りは推しではないのだなと受け取りました。あるいは、トロタクのように一手間加えて創作和食っぽくしたいのか…。ロス率を下げたいのかとも思いますが…。あと、煮物がないです。

料理のレベルは高いです。ちょっとムラがあるのが残念ですが…。先ずはというところで、トリビーです。

こちらは突き出しです。良い感じですね。

先ずは…、ということで播州名物ひねぽんをオーダーしたところ、切り干し大根らしきものが入っていて、珍しい取り合わせだなと思ったんですが、切り干し大根ではなく千切りにした生姜でした。ひねぽん(親鶏のポン酢和え)は、若鶏にはない強烈な旨味としっかりとした歯ごたえが魅力なんですが、その分、油のコクや皮目の香ばしさが強く残る料理です。そこに大量の千切り生姜を合わせるのは、素晴らしいアクセントです。ひね鶏のむっちりモチモチとした力強い歯ごたえに対して、千切り生姜のシャキシャキ感。生姜の辛味と香りがひね鶏の脂を切り落としてくれますし、何よりポン酢と生姜は相性が良いです。

続いては、ウニと蓴菜の小鉢。最近は蓴菜を見ること自体が少なくなりましたが、初夏(05月~07月)が旬で、新芽の周りを覆うゼラチン質のぬめりが特徴的です。蓴菜は食感とのどごしが特徴で、通常はちょっと酢を利かせた出汁で清涼感を出します。今回はウニと合わせることで出汁も酸味も控えめになっていて。最初に蓴菜を口に入れたときは薄味かなと感じるんですが、ウニがやってきた途端に、ウニの濃密さが爆裂します。ウニを主役に据えたいが為に、わざと酸味を抑えたのでしょう。

続いて和牛たたきです。醤油ベースの和風味になっていてそれだけで旨いんですが、隠し味になっているにんにくがどこから来ているのかで、ちょっと考え悩んだりしました。皿に塗りつけたのか、カットした切り口に当てたのか、あるいは塊肉の下処理として塩&胡椒と共ににんにくを擦り込んだのか、はたまた漬け込み用の和風出汁の方に香りだけ移しているのか…。もちろん、肉本来の旨味も良い感じで味わうことが出来ました。おそらく、相当な店での修行経験があるのでしょう。

鯵フライとかき揚げは、あらっ…、な感じでしたが…。悪いという意味ではないです。普通です。出汁や薬味を利かせる冷菜・一品料理のセンスは飛び抜けているだけに、料理の緩急としては少し肩透かしを食らう感じです。煮物メニューがないのは、おそらくキッチンスペースが小さいというのが一番の理由なのでしょう。


サービスですが、丁寧ではありますが、ちょっと距離感を感じます。客と目線を合わせずに、自分の仕事を淡々とこなす感じ。聞かれたら答えるけれど、スタッフからは話しかけてこないです。カウンター席は女将の前だったので、「どなたかの紹介ですか?」とか「どちらからですか?」とか聞かれるかと思ったんですが、それはなしです。少しして常連と思われる客が入ってきたんですが、声をかけられると返すものの、「先日はどうも…」といった会話もなしです。拒絶されているわけではないけれど、見えないガラスの壁で隔てられているような独特の余白を感じてしまう。職人肌ゆえに過度な干渉を嫌うのか、あるいは常連にも一線を引く一定距離がポリシーなのかは分かりませんが、ちょっと悪い方に出ているような気がします。歓迎されている感はないです。料理の修業経験はあっても、接客経験が無いという可能性もありますが…。


サービスについてはもう一つ。二つか…。しばらくしたところで、90分経ったということでラストオーダーを取りに来てくれたんですが、そんなアナウンスは受けてないです。着席したときに言ってくれれば良いんですが…。飲食店での滞留時間は短いので、個人的にはぜんぜん問題ないんですが、場合によっては「聞いてないよ」と言うことになるかもしれません。食後に氷菓を持って来てくれたんですけど、それも事前に伝えておいてほしいです。甘味は別腹と言いつつ、満腹でもう食べられませんという人もいるでしょうし、ダイエット中の人かも知れません。ちょっと配慮が足らんかな…。ルールの事前告知がないのはトラブルの元凶ですし、オーダーしていない料理を提供する前に意思確認をするとか、接客の基本だと思うんですが、出来てないです。


アルコールドリンクは、ビールやハイボールはもちろんとして、焼酎の種類が多めです。日本酒の取りそろえも多めです。ただワインが…。375mlボトルしか置かないのは、ストックスペースの問題ですかね。しかも、価格設定がかなり強気です。KENZOは良いんですよ、ブランド品だから。でも、なぜ4,000~6,000円台のフルボトルを置かないのか…。シャンペンは置いてあるのに…。

C/Pですねぇ…。最初の料理三品(ひねぽん、蓴菜うに、和牛たたき)があれほど繊細で粋な配慮が出来るのに、接客や飲料の値付けになると急に大雑把になる。あとは、スタッフとの距離感まで考えると、良いとは言いがたいですね。
(参考)
・食堂 みづ木(食べログ)