大阪グルメ倶楽部

肉球拳宗家のグルメ日記。キックボクサーの千絵、合気道の夏見、空手の歩と共に、訓練に励んでいる。

割烹いなもり/日本料理/谷町六丁目駅

 谷町六丁目駅の南側、あるいは谷町九丁目の北側、ちょうど中間あたりに新しく出来た飲食店街があります。全店舗を訪問したわけではありませんが、店の構造はほぼ共通していて、一階がカウンター席、二階にテーブル席、トイレも二階という造り。そして周囲が民家に囲まれていることもあって、営業時間は24:00までというのも共通点のようです。

 

 今回はその中の一軒、「割烹いなもり」を訪ねました。オープン当初は、早い時間帯は予約必須で、コースのみ。20:00以降にアラカルトが解禁されるというシステムでした。最近になって、早い時間でもアラカルト注文が可能になったと聞き、それならと足を運んでみました。予約なしでも入れるらしいのですが、この界隈は飲食店が少なく、万が一入れなかった場合は谷町九丁目か六丁目に戻らざるを得ないので、直前に電話確認してから訪問しています。

 

 店内は一階にカウンター8席、二階には半個室で8席。外から見えるガラス張り部分は上手に目隠しされ、床や格子の色味も統一感があり、細部までセンスが行き届いています。カウンターの木目と、椅子や腰壁のエメラルドグリーンのタイルとの組み合わせも洒落ています。ただ、カウンターの席間はやや詰まっているので、全8席をフルに使うのは窮屈かもしれません。

 

 サービスは好印象。カウンターは腰壁が高く、店主と直接のやりとりはややしづらい造りですが、それをカバーするようにサービス担当がわざわざカウンターに出てきて対応してくれました。ドリンクも詳しく、日本酒の注文時には軽くアドバイスをもらえたのもありがたいところ。

 

 日本酒は約12種類。ラインナップは純米吟醸酒純米大吟醸酒のみで、純米酒は置かれていません。隠しで用意されている可能性もありますが、基本は吟醸系で統一されています。メニューは2ページに分かれ、後半は「限定酒」の表記あり。この辺りの意図を聞いたのですが、酔いも手伝って覚えていません。(^^;)

 

 ただ、純米吟醸大吟醸で統一していることから、料理は素材や出汁の繊細さを活かした方向性だと推測されます。しっかり塩味や旨味を効かせるタイプは少なめで、日本酒のフルーティで繊細な香りに合う構成。今回の注文の中では「イベリコ豚の塩角煮」が一番パンチのある味わいでしたが、それでも吟醸酒と違和感なく楽しめました。こちらは、日本酒以外のドリンクメニューです。

 

 先ずは、突き出し三種盛りです。

 

 ここから、駆け足で料理の紹介です。まずは秋刀魚の造り。この日の旬素材である秋刀魚は脂がのり、舌の上でとろけるよう。シンプルに切り出された一皿ながら、鮮度が際立っていました。器にもこだわりがあるんですが、例によって料理をアップにして撮影していますので、器の良さが伝わらないところがちょっと残念だったりします。

 

 続いて秋刀魚のねぎ焼き。皮目を香ばしく焼き、ねぎの香りがふわりと重なる一品。軽やかな塩加減で、吟醸酒と合わせると一層香りが引き立ちます。

 

 鱧の南蛮漬けも注文。程よい酸味に出汁の旨味が重なり、揚げた鱧がしっとりと美味しく仕上がっています。

 

 さらにイベリコ豚の塩角煮。たまごで豚肉が見えませんが…。肉の旨味をしっかり引き出しながらも、塩味でまとめてあるため、すっきりとした日本酒との相性も良好。重たすぎず、かつ満足感のある一皿でした。

 

 そして締めに選んだのが秋刀魚と松茸の釜飯。炊きあがりの香りからして贅沢で、松茸の香ばしさと秋刀魚の旨味が米に染み込んでいます。土鍋の蓋を開けた瞬間に広がる香りに、思わず顔がほころびました。

 

 こうして並べてみると、この日の食事は自然と秋刀魚づくしになりましたが、これは店主のお勧めもあったんですが、旬の食材に柄らを入れているようです。好き嫌いがなければ、店主のおすすめを素直に受け入れるのが、この店を一番楽しむ方法だと感じました。最後になりましたが、お勧めフードメニューです。一目見ればわかると思うんですが、煮物と揚げものがないです。このあたりも、日本酒とのバランスを取ったんだろうと推測しています。

 

 価格は料理5品(突き出し除く)と日本酒を4杯(各5勺)で一人1万円を超えない価格でした。内容と雰囲気を考えれば、コストパフォーマンスは十分納得できるものといえるでしょう。

 

(参考)

割烹いなもり(食べログ)

割烹いなもり(Instagram)